<前回のまとめ>
「日経BP社の編集部で使用している、分かりやすい文章を書くための『20のポイント』が参考になります。レベル1:正しい文章を書く、レベル2:無駄がなく読みやすい文章を書く、レベル3:文章の価値を高める、というもので、いずれも実践的な内容なので参考にしてください。」
という内容でした。
●連日、街頭演説がにぎやかですね。テレビや新聞でも連日、9/11の衆院選挙に向けて沢山の報道がなされていて、9/11がとても楽しみです。ところで、皆さんは、各政党の「マニフェスト」を読まれましたか?
●「マニフェスト」とは、政権公約であり、具体的な事業推進の数値目標、そのための財源措置、達成期限など、“マニフェスト3原則”ともいうべき政策実現への明確な根拠を国民に示すものだと定義されています。
●「マニフェスト」も国民に対する重要なプレゼンテーションです。そこで、今回は、自民党と民主党の、どちらがプレゼン上手か、見てみましょう、という内容です。自民党と民主党のマニフェストは以下の3種を参考にしました。
皆さんもご覧ください。
・自民党:全文 http://tinyurl.com/ey4qd
・民主党:重点項目 http://tinyurl.com/7gvzz
政策各論 http://tinyurl.com/burvn
民主党は、8/30にもっと完成度の高い「マニフェスト」が公開されましたが、8/30以前は、上記の2つのみでしたので、この「マニフェスト」を参照することにします。
●自民党のマニフェストは、表紙に小泉首相の写真と郵政民営化のメッセージが記載されています。内容は、自民党からの ”120の約束”がポイントになっており、これをテーマ1〜5に分割して提示されています。
●一方、民主党のマニフェストの「重点項目」は、「政策各論」の中から重点項目を8つに絞って整理されています。また「政策各論」は、[1.憲法]〜[14.政治改革・行政改革]の順に1つずつ公約が提示されています。
●確認ポイントは以下の3つとしました。
1.”マニフェスト3原則”が明確に提示されているか?
2.構成が分かりやすいか?
3.泣けるメッセージが含まれているか?
では、1つずつ見ていきましょう。
●1.”マニフェスト3原則”が明確に提示されているか?
○自民党:
001〜120まですべて目を通しましたが、民主党のマニフェストと比較して数値の提示が少なく、曖昧な印象です。”徹底した...”、”強力に...”、”大胆に...
”という表現が頻繁に使われおり、気持ちはわかるけど、もう少し具体的な数値が欲しいところです。このままで4年後、公約を実現できたかどうか評価する時に達成したかどうかの判断が難しいですね。
○民主党:
民主党のマニフェストは、自民党のものと比べるとより具体的な数値が示されています。特に「重点項目」では、”3年間で10兆円...”、”月額1万6000円”など、数値目標が明確に掲げられており、わかりやすいです。ただし、野党なので「本当にできるの?」という疑問は拭えないですね。
⇒このマニフェストから学べることとして、私たちもプレゼン資料を作成する場合、より具体的な数値を提示したいものです。例えば、売上目標はn億。これを実現するために、「誰が・何を・いつまでにやるのか?」といった具合です。具体的な数値を出すことで1つ1つの項目をより深く検討することになりますし、その方が説得力があります。
●2.構成が分かりやすいか?
○自民党:
構成も自民党のは分かりにくいですね。表紙にテーマ1〜5が掲げられ、その後、テーマ毎に 120項目の詳細説明に入るのですが、テーマのタイトルと詳細説明の前に目次?の役割として項目が羅列されています。この目次と本文の区別が分かりにくいのです。私なら目次と本文の違いを明確にするために、目次は罫線で囲みますね。また、テーマのタイトルと
120項目の詳細説明の間にサブタイトルがあるのですが、フォントの違いが明確でないため、これも分かりにくくさせています。コントラストは明確にしましょう。
○民主党:
民主党の「重点項目」は分かりやすいです。1ページ1項目になっており、番号⇒タイトル⇒簡単な説明⇒点線⇒詳細項目で統一されています。タイトルはゴシックで、概要説明は明朝を使うなど、フォントの使い方も上手です。ただ「政策各論」は、改善の余地がありますね。(1)の下に丸数字や○が混在していますし(1)がタイトルではなく本文になっている箇所(P.18)があります。また、これだけページ数が多い(32ページ)と、目次が欲しくなります。
⇒ここから学べることとして、ページ数が多くなる場合は、民主党の「重点項目」のように概要を作った方が親切ですね。また、見せ方の工夫は必要ですが、自民党のように目次を作るのも親切です。また(1)や丸数字、○などの記号をつけて分類した方が分かりやすいですが、この時、記号をつけたりつけなかったりするのは、読み手の混乱を招くだけです。そのため、愚直に全ページで統一(反復)すべきです。自民党、民主党、どちらの方にも『ノンデザイナーズ・デザインブック(http://tinyurl.com/5ayzd)』を読んでいただきたいものです。
●3.泣けるメッセージが含まれているか?
○自民党:
自民党の場合、メッセージは明確ですね。”郵政民営化こそ、すべての改革の本丸”これに尽きます。”改革の本丸”と言われると、ついに最後の砦か!?と思い期待します。このメッセージを繰り返すことがとても効果的ですね。しかし、逆に、これ以外のメッセージ色が弱いですね。項目であってメッセージではないのが残念です。例えば、テーマのタイトルをピックアップすると、
・テーマ1【日本の改革】改革の流れに、勢いを。
・テーマ2【国際競争力・成長分野】日本の産業に、たくましさと活力を。
・テーマ3【安心・安全】誰もが不安なく暮らせる日本へ。
・テーマ4【われわれの子どもたち】子どもたちに、確かな未来を。
・テーマ5【世界の中の日本】世界に胸を張れる日本へ。
となっていますが、よくある言葉、という感じで、正直、もう少し踏み込んだメッセージが欲しいものです。
○民主党:
民主党の場合、自民党より目を引くメッセージがあります。例えば「重点項目」のタイトルからピックアップすると、
・項目1:...10兆円のムダづかいを一掃...
・項目2:社会保険庁を廃止し...
・項目3:コンクリートからヒト、ヒト、ヒトへ
・項目5:イラクから自衛隊を撤退させ...
などです。”ムダづかい”、”廃止”、”ヒト、ヒト、ヒト”、”撤退”など読み手として一瞬、”えっ!”と目を引く言葉が使われています。
⇒私たちもプレゼン資料を作成する場合、特にタイトルでは、目を引く言葉を抽出したいものです。そうでなくても自分が思っている以上に、多くの人は真剣にプレゼン資料など読まないものです。そのため、できるだけ、感情が反応するような、読み手の心に残るメッセージを抽出したいものです。
●以上です。全体として、民主党のマニフェストの良さを強調することになってしまいました。だからこそ、世論で不利と言われている民主党としては、マニフェストで戦いたいのかもしれないですね。しかし、民主党のマニフェストも改善の余地は沢山あると思います。(自民党はさらに改善すべきだと思いますが...)
●ちなみに、8/30に公開された民主党のマニフェストは、さらに完成度が上がっていて”魅せる”「マニフェスト」になっています。こちらは、更に勉強になるので、一度、ご覧ください。
⇒http://www1.dpj.or.jp/manifest/Manifesto_2005_a4.pdf
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