●前号では、トヨタのプレゼン資料から学ぶべき点として以下を整理しました。
1.キャッチコピーが全体に貫くように構成すること
(浮かないように工夫すること)
2.構成として「3つ」を意識してまとめること
3.1つのスライド毎に何を伝えるのかを明確にすること
4.伝えたいメッセージが分かりやすいようにメリハリをつけること
(フォントの工夫、吹き出しの追加など)
●今号は、トヨタといえば、今やホンダだと思うのですが、ホンダのプレゼン資料より、日産のプレゼン資料の方が興味深かったので、日産のプレゼン資料をピックアップしました。ここから色々、学べる点が多くあります。
2004年度第3四半期決算発表 (2005/02/09)
http://www.nissan-global.com/JP/IR/LIBRARY/FINANCIAL/index.html
●1.全体
とにかく見てください。かっこいいですね。デザイナーにでも依頼しているのでしょうか?資料を見た瞬間に「いいんじゃないか?」と思ってしまいます。表紙を見ただけで質感が違うというか、Webサイトなどとの統一感を感じます。
一方、内容ですが、決算報告のようなプレゼン資料を作るのは比較的楽だと思います。何故なら、素材は既に揃っているわけですから。プレゼン資料を作成する際、後は、詳細資料の中からどんな情報をピックアップして整理するか、という点に注意すればよいわけです。
私のサイトのStep1の「a.」にあてはまります。
http://www.nakeru-p.com/step_1_1.html
●2.注意点:数値の取り扱い
ただ、このような決算報告の場合、”数値の信憑性と整合性が命”だと思うのですが、異なる?箇所がいくつかあり、ちょっと気になります。例えばPage.3の「グローバル販売台数」は、プレゼン資料と決算報告書の数値が違います。私の見方が間違っているだけかもしれませんが...
いずれにせよ、プレゼン資料作りで数値を扱う場合、例えば、売上目標や営業利益、販売数など使用する場合、間違いがないように十分すぎるぐらい神経を使った方がよい、というのは基本です。できれば、複数人でレビューした方がよいですね。
●3.学ぶべき点:表現力
日産のプレゼン資料の場合、以下の表現力に優れていると思います。
a.メッセージが伝わる
b.シンプルである
c.統一感がある
○a.メッセージが伝わる
メッセージが伝わるというのは1つのスライド毎に何を伝えようとしているのかが資料を見ただけでわかるように工夫されているという点です。よいでしょうか?繰り返しになりますが、”見ただけで”ですよ!! 聞き手に”読んで理解させる”ということではありません。つまり、聞き手の労力を軽減している訳で、親切といえます。
例えば、Page.3の「第3四半期の過去3年の比較」が掲載されていますが「当期は、赤の部分だけを見てくれ!!」というメッセージが伝わります。ここが特徴的で、プレゼン資料全体を通して「赤を見てくれ」というメッセージが伝わります。
それで興味深いのは比較対象がグレーになっていて、赤を引き立たせるように目立たず、しかし、しっかり存在するように工夫されています。こういうところはとても参考になりますね。さっそく取り入れましょう!!
○b.シンプルである
シンプルである、というのは不要な情報がないという点です。「a.」とも関連しますが、Page.3の「第3四半期の過去3年の比較」などを作成する場合、一般的にExcelで作成したものをコピー&貼り付けすると思います。この時、標準のままだと、余計な情報、例えば、枠線や目盛線などが入るのでExcel上で必要な情報だけに絞り込まれています。もしかしたら作り直しているのかもしれません。
いずれにせよ、ここで学ぶべき点としては、線や色というのも一つの情報であり、不要な情報は用いない方がよいという点で、参考になります。
○c.統一感がある
全体を通して統一感がありますよね。その要因は、レイアウトと色ですね。レイアウトは、表紙を除いて6パターンぐらいしかありません。そのパターン化されたレイアウト上で、表現したい情報だけが変化しています。また、繰り返しになりますが、注視すべき点が”赤”で統一されています。
レイアウトを初めとして統一感を持たせると見る方にも安心感を与え、情報の混乱を防ぐ効果もあるので、こちらも参考になります。
●4.気になる点
一方、気になる点として、3点ほどあります。
a.表紙
b.背景
c.黄色
○a.表紙
プレゼンの表紙というのは、重要な情報ですよね?トヨタでは「レクサス」の画像を表紙に掲載していました。これは、トヨタが「レクサスの販売に力を入れていく」というメッセージだと思います。
一方、日産の場合「フェアレディZ」なのですが、なぜ「フェアレディZ」というがよく分かりませんでした。2004年度の日産の象徴ということなのでしょうかね?こちらも私が知らないだけ?
○b.背景
プレゼン資料全体に上記の「フェアレディZ」の画像が背景に使われていますが、本当に必要なのでしょうか?線や色が一つの情報であるように背景も一つの情報です。背景に「フェアレディZ」の画像を用いることで何を伝えたいのかが今ひとつ読み取れないのです。
文字が見えるように極力薄くしていますが、それでもPage.2以降、文字を邪魔しているとしか思えません。
○c.黄色
これは少し細かいのですが、Page.7やPage.8などで色々なところで「黄色」が用いられています。パソコン上で見てるだけなら黄色でもまったく問題ないのですが、いざ、プロジェクタに映してみると見えなくなるというのが常なので、他の色にした方がよいのに、という点が気になりました。
黄色の文字や図形を用いて問題ないのは、背景が紺や黒などの濃い色の場合だけです。
●以上、色々、書きましたが、再度、日産のプレゼン資料から学ぶべき点を整理します。
3.線や色などの不要な情報は削除し、シンプルにすること
4.レイアウトや色は統一感を持たせること
5.表紙に用いる画像には意味を持たせること
6.背景の画像を用いる場合、文字を見やす工夫すること
7.図やフォントには極力、黄色を用いないようにすること |