<前回のまとめ>
「プレゼンテーションを行う上で、自分の考えや方向性を明確にすることはとても大切です。しかし、その根底に愛情がなければ、結果を伴うことは難しい。」
という内容でした。
●先日、TVで料理番組を見ていて、興味深いシーンがありました。フランス料理のシェが料理を作る前に完成図を「絵」で描いたのです。これがとても上手で色や配置などがランスよく描かれていました。完成イメージを明確するという点でプレゼンテーション資料作りと共通すると思います。
●プレゼン資料を作成する場合も同様にPowerPointを立ち上げるより、ずっと先に「全体像」を描いた方が効果的です。最終的な完成図を描かずに最初から
PowerPointで資料を使るのは、かなり!!高度なテクニックです。意識しなくてはいけないのは、
「何を書くか?」 と 「どう書くのか?」
は違う、ということです。
●例えば、小説家が何を書くのかを明確にしないで、いきなりワープロに向かって原稿を書くことは不可能なはずです。つまり、冒頭のシェフや小説家と同様に自分の中でこれから作るべき資料の完成イメージ(=設計)を明確にしないと結果的に無駄な作業をすることになります。
●設計の段階では、文字で書くのではなく、図で表現した方が良いです。図といっても決して難しくありませんからご安心ください。四角形の箱の中に書きたい内容を表し、関連を線でつなげればよいのです。
例えば、以下のような形になります。
┌─────┐
│ テーマ │
└──┬──┘
┌──┴──┐
│ 目 的 │
└──┬──┘
┌───────┼───────┐
┌──┴──┐ ┌──┴──┐ ┌──┴──┐
│ 課題1 │ │ 課題2 │ │ 課題3 │
└──┬──┘ └──┬──┘ └──┬──┘
┌──┴──┐ ┌──┴──┐ ┌──┴──┐
│ 施策1 │ │ 施策2 │ │ 施策3
│
└──┬──┘ └──┬──┘ └──┬──┘
│ │
│
●では、なぜ、図で表現した方がよいのでしょうか? それは、
1.論理的なつながりが明確になる
2.説明対象の階層構造が明確になる
3.PowerPointの図形表現にそのまま利用することが可能になる
からです。
●1.論理的なつながりが明確になる
論理的とは、話のつながりが誰もが納得できること、と言えます。これを図で表現していくことで関連性のつながりが明確になり、不要なものがみつかったり、矛盾を発見することができます。例えば、「これは有効な施策だ」と思いついても、それがどの課題の解決につながるのか?本当にそうなのか?といったことを検証できるのです。
●2.説明対象の階層構造が明確になる
多くの場合、プレゼンで説明する内容は、階層構造をもっているはずです。例えば、会社の問題点を抽出する場合、企業としての問題もあれば、部や課の問題、社員の問題など切り口によって違ってきます。階層構造を文章で表現するのは難しいものです。それより、図を書いた方が明確になることがあります。
●3.PowerPointの図形表現にそのまま利用することが可能になる
全体像をせっかく図で描いたのですから、これをそのままPowerPointで利用することができます。図で描くことで自分が一番、分かりやすいのですから聞き手の人も同様に、わかりやすいはずです。例えば、プレゼンの冒頭で「今回のプレゼンの全体像をご説明いたします。」といいながら、それぞれの大筋を説明するのも一つの手です。
このように、最初の設計段階は図で説明する対象を図で描いてみましょう。
●では、続けて具体例で見てみましょう。
今回は、「楽天」のプロ野球加盟申請の資料例です。
http://www.rakuten.co.jp/info/ir/release/pdf/2004_09_24.pdf
┌─────────────┐
│1.会社の概要 │
└──────┬──────┘
┌────────┼───────────────┐
│ ┌──────┴──────┐ │
│ │2.参加球団の概要 │(1)〜(9) │
│ └──────┬──────┘ │
│ ┌──────┴──────┐ │
│ │3.参加球団の事業計画概要 │(1)〜(2) │
│ └──────┬──────┘ │
│ ┌──────┴──────┐ │
│ │4.具体的施策 │(1)〜(7) │
│ └─────────────┘ │
└────────────────────────┘
ここでは、大きく2つの事柄が書かれています。
1つは会社の説明、もう1つは楽天球団の説明の2つです。この資料で一番、伝えたいのは、「4.」のはずです。しかし、いきなり「4.」の説明をするのは無茶なので、「1.」〜「3.」の基本的な内容を説明し、徐々に核心を説明しています。
●これは喩えるなら、前菜に始まり徐々にメインデュシュを提供するのに似ています。さらに具体的施策は、「3.参加球団の事業計画概要」の(2)基本コンセプトにつながるようになっています。本来は、ここに目的や課題を入れた方がより、締まると思いますが、対外的な資料ということで割愛されているのかも知れません。
●いずれにせよ、論理的というより、単なる説明上のつながりで、「2.」〜「4.」を伝えるために「1.」があり、「4.」を伝えるために「3.」がある。「3.」を伝えるために「2.」があるような構成になっています。
●また、階層構造としては、単純で「1.」>「2.」>「3.」>「4.」のような形で包含されています。(階層構造の説明には、あまり適切ではなかったです。)さらに、実際にデリバリする際には「本日のご説明内容は、図の4つです。」などと伝えることも可能です。
●このようにプレゼン資料を作成する段階では、まず完成イメージを図で描きましょう。その時点で論理的なつながり、階層構造の明確化などを通じて、説明する対象を正確に把握するのです。そして、いかにメインディシュをおいしく食べていただくかということに注力し、完成させるのです。 |