●このプレゼン資料は、8/19に新球団構想計画としてマスコミに向けて発表されたものです。コンサルティングを開始する前に、このプレゼン資料の目的を明確にしないと適切なアドバイスもできません。正確なところは当事者しか分かりませんので、ここでは、目的を以下のように仮定します。
[目的]
ライブドアが新球団を設立するにあたり、日本プロ野球組織に対して
計画内容を提示し、方向性の理解を求める。
以上を目的と仮定して、コンサルティングを行います。
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<新球団構想計画骨子 別添資料>
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●球団運営の3つの柱
まずは、別添資料をご覧ください。別添資料は、「新球団構想計画骨子」より先に作成されたものです。そのため、「〜骨子」の経営方針で記載されたものと同じ3つの柱がより詳しく記載されています。
1. 市民球団運営
2. IT活用
3. 成功事例導入
「1. 市民球団運営」は、球団の株式を発行し、市民に購入してもらったり、選手にストックオプションを付与するなど「稼ぐが勝ち」、まさにライブドアらしい施策ですね。それで、株式上場の際、市民は、金持ちになる(株価が上がればの話ですが)というシナリオです。確かに魅力的ですね。(^^;)「2.IT活用」は、顧客データベース、インターネット(ブログ)の活用など、IT企業の特徴を活かした施策ですね。「3.成功事例導入」もユニークですね。プロ野球をはじめ他のスポーツの成功事例を積極的に導入します。という内容です。
こういう施策を企画するのってワクワクして楽しいですね。自分たちのやりたいことを抽出し、議論し、方向性を決定していくのです。一方、ライブドアのライバル企業、楽天はまた違った施策を出しています。
http://www.rakuten.co.jp/info/release/2004/0924.html
このように施策というのは会社によってバラバラなのです。10の会社があれば10の異なる施策になるはずです。どれが正解ということでもありません。それより、これらの施策を実行し、成功させることができるかどうか、が問題なのです。
では、話を戻してプレゼン資料作成という観点からここから何を学べるのか?ですが、それは、その企画した施策は、その会社や事業の方針や目的に合致しているのか?という点です。ここがポイントです。簡単な話です。つまり、施策を沢山、抽出するのはよいですが、その施策は背骨である方針や目的に合致しているのか?ということなのです。
それで、ライブドアのプレゼン資料の問題点は、この方針をどこにおいているのが曖昧に見える点です。背骨を自らぼやかしてしまっているのです。よいでしょうか?再度、確認すると、このプレゼン資料の背骨は、
・市民球団を作ること
のはずです。では、先の3つの施策は「市民球団を作ること」にしっかりつながっているのか?ということを確認してみましょう。
●1.市民球団運営
タイトルからするとそのまま「市民球団を作ること」につながりそうですが、内容を見ると、株式の発行を中心とした内容にとどまっています。これも一つの施策ですが、市民球団運営というならもっと他にも施策があるのでは?とも思ってしまいます。
例えば、
・地元の商店街との連携
・地元企業との連携
・子供達との連携
などです。株式発行というだけでなく、”人と人がつながる”ような施策を掲げる方が、より市民球団運営に近いと私は、思います。
●2. IT活用
インターネットと顧客データベースを活用は、IT企業の特徴を活かした施策ですよね。内容を見ると、地元の人を意識したものというより、全国を意識した施策に見えます。これはこれで重要な施策ですが、市民球団を作るなら、もっと他にあるのでは?と思ってしまいます。
例えば、
・CATVを通じた試合中継
・地元商店街、地元企業の広告配信
などです。全国のファンの取り込みも大切です。しかし、地元のファンに対する施策を盛り込まないと先の方針や目的とずれがでてしまうのです。
●3. 成功事例導入
これに関しては、良いですね。中でも「勝ったら企画」「サポーターズ・クラブ」などは、地元のファンとの連携を意識したものです。ただ、「スタジアム通貨」だけが若干、ずれています。市民球団を作るなら、
・スタジアム通貨を地元の商店街でも使用できる
などの施策を盛り込めばベストですね。そういう意味でタイトルがよくない
のすね。
「地域住民を巻き込む成功事例の導入」※工夫がないですが...(^^;)
といったタイトルにした方がより明確ですね。
⇒このように、施策を抽出する場合は、背骨と一致しているかどうかを意識しないといけないのです。そうでないと視点がぼやけてしまうからです。商品販売、事業戦略など、様々なテーマでプレゼン資料を作成されていると思いますが、方針や目的と施策とのつながりを意識するようにしてください。
●全体(論理展開)
別添資料だけでなく、再び「新球団構想計画骨子」を含めた全体の話になります。もう一つ改善すべき点としては、前号からの繰り返しになりますが「なぜ、市民球団なのか?」という論理展開に説得力が乏しい点です。
「新球団構想計画骨子」での論理展開は、以下です。
1.目的:市民球団を作る
2.施策:3つの施策を成功させる
一見、悪くなさそうです。しかし、できれば「なぜ市民球団を作る必要があるのか?」が欲しくなります。例えば、
1.目的:市民球団を作る
★2.背景:市場、ニーズがある、あるいは、課題がある
3.施策:3つの施策を成功させる
上記の★印が欲しいのです。敢えて外しているのかも知れませんが...しかし、一般的にプレゼン資料を作成する上では、「なぜ、これが必要なの?」に対する回答を明確に表現した方が説得力が増します。
1.目的:新商品販売、売上10%増
2.施策:3つの施策で実現します
というより、
1.目的:新商品販売、売上10%増
★2.背景:市場、ニーズがある
2.施策:3つの施策で実現します
というように★を加えた方がより、説得力があります。前者の場合、どうしても「裏づけは?」と逆に問いただしてしまいます。
⇒プレゼン資料を作成する場合、裏づけを曖昧にせず明確に表現する方が王道です。そうでないと「なぜ?」という疑問が払拭されません。そこで明確なニーズや課題があるから、このような施策を実施するのです。という論理展開にもって行った方がよいのです。
●以上が、今回の改善点です。
最後に、今回のライブドアのプレゼン資料から学ぶべき点を整理しま
す。
1.施策を抽出する場合、方針や目的などの背骨とつながることを意識
する。
2.目的や施策を実施する裏づけを明確にする。 |